先日、Jストリームの方にお会いした際に頂いた「リッチコンテンツ・マーケティングの時代~動画、音声、Flashがネットマーケの常識を変える」を読み終わりました。
この書籍では、動画を中心としたリッチコンテンツの現状を取り上げていて、その米国の事情を織田浩一さんが、日本の事情をnikkei BPnetが取材し、Jストリームが協力しているとのことです。
織田浩一さんの名前をどこかで聞いたことがあると思ったら、「テレビCM崩壊」の監修者で、私もRSS購読している”Ad Innovator“を編集されている方でした。この書籍の元になった織田氏の連載記事を、”NET Marketing“のこちらのページに掲載された「ビデオの時代(1)~(12)」で読むことができます。
以下、同書からの引用と、私が感じたことを記載します。
- オンラインコンテンツ制作を積極的に行う、ティーンエイジャーを中心とした”クリエーション世代”の誕生 (p.11)
- この流れは今後も加速するでしょうし、このCGMの活況による、コンテンツの検索、関連付け、評価、推薦などの機能の改善と研究は、今後もますます盛んになるだろうと思います。
- YouTubeやMySpaceを買収したNews Corporationに、「オンラインビデオでの主導権を奪われたくない」と言う思いが、この1年で業界を大きく変貌させたように思える。 (p.44)
- 確かに、即座に思い出せるだけでも、複数のマスメディアとJoostの提携、CNNがニュース映像を無料公開、Sonyが買収した動画共有サイトのGrouperの方向転換、などのニュースが頭に浮かびます。ただ、その一方でYouTubeの一人勝ちが、ますます揺るぎないものにもなっていますね
- Webサイトのリニューアル時に、それまであった、映像をフルスクリーン表示するボタンを外したところクレームが来た (p.65)
- 私も関わっているSIC-TVに、早くフルスクリーンボタンをつけないと・・・
- いくらアクセス数が多く、ユーザーの人気が高いといっても、著作権に触れるコンテンツや公序良俗に反したコンテンツがあるところに、スポンサーは広告を出せないでしょう。 (p.117)
- この辺りの判断は、アメリカの方が柔軟なのかもしれないですね。
- 同音異義語や、聞いて紛らわしい言葉遣いや単語は避ける。 (p.162)
- 次回、eラーニングコンテンツなどの映像に登場する時には、注意したいと思います。
「リッチコンテンツ」
織田 浩一 須藤 慎一 橋本 雄一 nikkei BPnet
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テレビ広告に最後に残された強さが浮き彫りに
ネットマーケティング関係者必読!
梅田望夫/茂木健一郎両氏による、「フューチャリスト宣言」を読みました。梅田さんに関しては、”My Life Between Silicon Valley and Japan“をRSS購読していますし、過去にも「シリコンバレー精神」や「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」を読んでいたので、これらと「フューチャリスト宣言」の内容の重複を気にして購入を躊躇っていました。しかし、実際に購入して読み始めると、対談としての「偶有性」の面白さに魅了されて、一気に読み終わりました。以下に、その読後メモを記します。
「フューチャリスト」と言う単語については、茂木さんによる序文で、以下のように記されています。
未来は予想するものではなく、創り出すものである。そして、未来に明るさを託すということは、すなわち、私たち人間自身を信頼するということである。私たちが人間を信頼すればするほど、未来は明るいものになっていく。(p.15)
アラン・ケイの有名な言葉が念頭にあるであろう、歯切れの良い記述になっていますが、確かにこれまでの著述からイメージされる梅田さんは、まさに「フューチャリスト」ですね。
日米の研究者像については、MITの石井先生がテニュアをとった時の話として、
「それまで誰も手をつけていない分野を切り拓いたかどうか」ということを、世界中の影響力を持つ10人くらいの人からのヒアリングにもとづいて判断されたのだそうです。そのときに、どこのジャーナル(専門雑誌)に論文を何本書いたかとか、そういうことを言い始めたらおしまいだと言うんです。(p.45)
が紹介されていますが、これも面白かったです。アメリカの大学というと、一方では”publish or perish”のイメージがありますが、他方では、独創性に対する強い尊重ということを、僕の乏しい経験でも感じます。私自身は、多少荒っぽくても独創的な研究をする研究者にあこがれますが、その一方で、日本の研究者に多い、一つのアイデアを職人芸のようにブラッシュアップすることにも、別種の意義を感じています。
また、梅田さんの最近の「人体実験」として、
2002年からアメリカの国内線の飛行機には一度も乗っていません。わざとやっているんです。実験を始めたのです。ネット上での経験とリアルの経験のうち、リアルをやらないといけないところがあるなら、いけないでしょうがない。(中略)カンファレンスはブログで誰かが書いているもの、映像でネットに出てくるもの、そういうものを読んで聴いて考えています。(p.59)
とありますが、この実験結果が報告されることを楽しみにしています。私自身、最近では、研究会や講演会に関して、ネットのリソースだけでも十分かなと感じることがしばしばあります。もちろん、リアルでないと得られないものはありますから、後はプライオリティの問題でしょう。
上記以外でも、日本の教育制度についての記述(p.117)や、個人と組織の関係をアフェリエイトとして捉えた記述(p.121)が特に面白かったです。
メモするのを忘れて記載ページを見つけることはできませんでしたが、「夏目漱石が今の時代に生きていたら、blogを書いていただろう」と言う指摘は、Falcoがヒット曲”Rock me amadeus“に関して言ったとされる、「もしモーツァルトが今生きてたら、凄いロッカーになっていただろう」と言う言葉を思い出しました。この「○○が今生きていたら、××をしていただろう」、と言うのは一つのテンプレートになるかもしれませんね。
梅田 望夫 茂木 健一郎
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2003年度の放送大学教材にもなっている、「学習科学とテクノロジ」(編集は三宅なほみ先生)を読了しました。
三宅 なほみ 白水 始
放送大学教育振興会 (2003/04)
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この書籍は、ITが支援する学習時のノートのとり方に関する先行研究について、熊本大学の鈴木克明先生にお聞きした際に紹介された書籍であり、第3章で取り上げられている”Knowledge Forum”を目当てに読み始めました。
同書では、この”Knowledge Forum”以外にも、”The Jasper Project”などの様々な学習科学分野での研究が解説されています。2003年出版の本なので、最新の情報ではないのかもしれませんが、刺激的な内容にわくわくしながら読むことができました。
また、私がこれまで漠然と考えていたいくつかの事柄が、学習科学について説明した同書の文章で、明確な言葉で記されていました。これには、例えば以下のような文章があります。
学習科学でも大切だと思われている観念が二つ現れている。一つは、「自分から学びたいという動機付けがある」「自分から情報を収集する」「自分で知識を作り上げる」など、知識は自分で作り上げていくものだとする知識構成観、もう一つは「教えあう」「先輩がいる」など、知識は他人とのやり取りの中で獲得され、磨き上げられていくものだとする協調的な学習観である。(p.15)
動機付けに社会的なものを考えることによって、学習をうまく動機付ける工夫の機会は大幅に増える。(p.31)
複数の人が協力し合って行う認知過程を認知科学では一般に協調的問題解決過程と呼ぶ。協調的な問題解決過程では、互いに相手のやっていることが了解しやすく(「見える」のが一番分かりやすい)、互いに相手のやり方についてそれでうまくいくのかどうか考えやすいなどの条件が揃っているとき、複数が参加していることの効果が一人でやるときより大きくなる傾向がある。(p.34)
自ら学習し続ける持続性のある学習者コミュニティ(sustainable community of learners)の形成と言う目標(p.155)
これまで自分の研究に対して、「学習科学」と言うキーワードを意識することはありませんでしたが、今後は、今回読んだ書籍で紹介されていた論文・書籍を中心に、学習科学と言うキーワードにもアンテナを張っていこうと思っています。