2010-02-13 15:29
「「未来の学び」をデザインする」を読む
私の勤務先である秋田大学総合情報処理センターでは、次年度、学習者同士が会話をしながらPC操作ができる端末室を、一部屋新設することを予定しています。その参考資料として、以前から気になっていた、美馬のゆり・山内祐平著の「未来の学び」をデザインするを読み終えたので、感想を記載します。
同書では、「未来の学び」を
学校に入学する前の子どもたちが、日々嬉々としていろいろなことを学んでいるように、大人にとっても、学びを楽しい知的探求の活動とすることができるはずです。これが著者らが考える「未来の学び」の姿です。(p.30)
と位置づけ、それを育む学習環境として、「空間」、「活動」、「共同体」の3視点から実践例やヒントを紹介しています。
第1章の「空間」では、MITのメディアラボや、はこだて未来大学での空間デザインについて述べられています。空間設計の具体例として特に参考になったのは、グループ学習教室の設計のポイントとして述べられている、
「グループ作業ができるような机」というだけでなく机やいすが動いて、人数や活動に応じて変形できる(p.104)
と言う点。はこだて未来大学の実践例として、壁に沿ってPC、中央に可動式のテーブル等を配置したケースが挙げられています。可動式の机にPCを常設するのは難しいと思うので、この例のように固定PC机と可動グループ学習テーブルを分離するか、固定グループ学習テーブルにPCも設置するか、のどちらかになるのでしょうか。このあたりは、もう少し実践例を調査したいと思っています。
第2章の「活動」では、
人間の学習を「知識の獲得」という個人的な営みではなく、対話やコミュニケーションから生まれるものであり、その時の状況や文脈とは切り離せないものである(p.141)
とする状況的学習論について、スファードによる獲得メタファと参加メタファの対比が紹介されている箇所などが、特に参考になりました。
第3章の「共同体」では、
通常、日本の学校で行われるテレビ会議は、儀式的な側面が強く、遠隔地間でお互いに調べたことを発表して終わってしまう場合が多い(p.171)
と指摘している点が印象に残っています。確かにこれはその通りで、多くのテレビ会議システムを用いた遠隔交流授業では、著者らが言う
現代の関心共同体にも適用可能な概念として実践共同体(p.155)
の構築までは、時間等の都合で実現できてないケースが多いのでは、と感じています。このあたりは、ベストプラクティスも集積できていると思うので、同種の授業を設計する際は注意したい点ですね。
東京大学出版会
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